grafオリジナル家具「Narrative」のこと

こんにちは。
はじめまして、grafの設立メンバーでプロダクトデザインをメインに担当している松井と申します。

自社のオリジナル家具や日用品、ものづくりをされているメーカーや企業様などから商品のデザインのご依頼などを受けて設計をさせていただいています。

grafオリジナル家具「Narrative」シリーズ 自社工場/graf laboで製作しています
オリジナルプロダクト「三角箸」
新潟県燕市の金属洋食器メーカー、燕振興工業株式会社でつくられるカトラリー「SUNAO」のデザインを担当

Narrativeのはじまり

今回はgrafオリジナル家具「Narrative」(=ものがたり)と言うシリーズについてお話ししたいと思います。
「Narrative」は、grafのスタンダードのかたちとして、素材のもつ特性と表情を活かし、
構造と機能が意匠となって時代の変化に流されることのないタイムレスなものづくりと、
使い手のいろが反映され、暮らしに寄り添い馴染んでいくような 家具づくりを目指しています。

grafの家具づくりは、1998年から始まったのでかれこれ24年目になります。
設立当初は、経済的にも工具や設備、工場など製作環境を整えることも難しく、
はじまりは絵に描いたような小さなガレージで家具製作がスタートしました。
材料となる木材(ナラやウォールナットの無垢材など)を在庫することも難しい状況のなか、
入手や加工がしやすい、3/6板(サブロク/サイズ910mm×1820mm)という積層合板(コンパネ/ベニヤを貼り合わせたもの)を1枚使って出来るソファをコンセプトに生まれたアイテムが3/6 Sofaでした。

2人掛けからスタートしましたが、人気があり1人掛け、コーヒーテーブル、ベンチなどへ展開し、
洋室はもちろん、和の設えにも馴染む「3/6シリーズ」としてgrafの代表作となりました。

3/6シリーズ
3/6 Coffee Table (Koushi) Wide (W 1200 / D 590 / H 360)

grafの家具づくり

その後、スタッフや製作環境も整い、扱える素材も増えはじめ、家具のアイテムについては2年にいちど新作を発表してお家に必要な一通りのものが揃ってきていたので、6年後の2004年に「Narrative」というシリーズ名で家具カタログをつくることにしました。

2004年に発行したgrafの家具カタログ「Narrative」

「Narrative」という名称は、grafのつくる家具が、購入していただいたお客様の暮らしのなかに届き
あらたにものがたりがはじまり、生活に寄り添い根付いて欲しいことから名付けました。

家具づくりがはじまって10年が過ぎた頃から、「ソファの張り生地の交換をお願いできますか?」と、
リペアのお問い合わせが増えてきたこと、「20代の頃に椅子を買ったのですが、今度、家を建てることになったので追加でダイニングセットが欲しい。」など、買っていただいた家具を大切に使っていただいていること、
人生の節目にお店に来ていただけていることを実感できることが、感謝と同時にものづくりを続けていて良かったと思える瞬間です。

人とものの理想的な関係

これまでの家具(ものづくり)を振り返ってみると、「格好のいい好きなものをつくる」、「暮らしに役立つ道具をつくる」、「人が集う場所をつくる」、そんなふうに僕の視点は、ものから人、人からこと「コミュニケーション」へと少しずつ変化していきました。いまあらためて考えると、すべてがつながっていて一巡したのだと感じました。それは、もののあり方や、人とものの理想的な関係を見つけるための年月だったのだと思えます。

つくることからはじまること。つくることで発見すること。つくることで生まれること。もっとシンプルにつくることをたのしみ、これからもつくるという行為から暮らしを豊かにしていくヒントを見つけていきたいと考えています。

ぜひ、grafの家具を体験に、ソファーの座り心地を確かめに来てください!お待ちしております!!

それでは、また。

この記事の投稿者

1970年生まれ、大阪府出身。graf取締役、プロダクトデザイナー。 実家が下町の商店街で靴屋を営み、父親は靴職人という環境で育つ。専門学校卒業後、建築設計事務所にて勤務、インテリアショップにてアンティーク家具のリペアを担当した後、1998年に友人たちとgrafの活動をスタート。家具やプロダクトを中心としたデザインを担当している。